歯科治療における感染性心内膜炎の予防投与について | 診療科のご案内
歯口科における手技・処置
歯の衛生状態が不良であったり,歯周や歯根尖周囲に感染症のある場合には,歯科手技・処置をしなくても菌血症が発症することがある.
口腔内の炎症(歯肉炎)は,病原微生物が血液に侵入する状態を作り出す.
従って歯科治療を行う前にこの炎症を抑えておくことは重要である.
[PDF] 感染性心内膜炎発症予防のための 歯科処置時抗菌薬投与の今後
敢えて予防をする必要がないとされているものには,
①心房中隔欠損症(二次口型),
②心室中隔欠損症・動脈管開存症・心房中隔欠損症根治術後6ヶ月以上経過した残存短絡がないもの,
③冠動脈バイパス術後,
④逆流のない僧帽弁逸脱,
⑤生理的あるいは機能的心雑音,
⑥弁機能不全を伴わない川崎病の既往,
⑦弁機能不全を伴わないリウマチ熱の既往
がある.
表11 歯口科手技に際して感染性心内膜炎の予防のための抗菌薬投与
ClassⅠ
特に重篤な感染性心内膜炎を引き起こす可能性が高い心疾患
で,予防すべき患者
•生体弁,同種弁を含む人工弁置換患者
•感染性心内膜炎の既往を有する患者
•複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室,完全大血管
転位,ファロー四徴症)
•体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者
ClassⅡa
感染性心内膜炎を引き起こす可能性が高く予防したほうがよ
いと考えられる患者
•ほとんどの先天性心疾患
•後天性弁膜症(詳細は本文)
•閉塞性肥大型心筋症
•弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
ClassⅡb
感染性心内膜炎を引き起こす可能性が必ずしも高いことは証
明されていないが,予防を行う妥当性を否定できない
•人工ペースメーカあるいはICD植え込み患者
•長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者
感染性心内膜炎. 難易度:. 疾患名:感染性心内膜炎の予防(適応外使用).
しかし,.
ClassⅠとⅡaに分けたが,これは,AHAのガイドラインの変更を意識したものであり,感染性心内膜炎に罹患しやすい基礎疾患にはあまねく予防的抗菌薬投与を行うという姿勢に変更はない.
これは,わが国では,抗菌薬の予防投与を通じて,感染性心内膜炎に対する注意を喚起するという副次的な意味があるからである.
表11に,抗菌薬による予防を推奨する心疾患を示す.
一般人より心内膜炎リスクが高い患者はハイリスク群としての認識が必要である.
米国のガイドラインでは,ハイリスク患者の中でも特に心内膜感染症が生じた場合,合併症が生じやすく,死亡率が高いような心疾患を,ほかのハイリスク患者とは区別して取り扱っている.
「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン」には、 「予防的抗菌薬投与 ..
感染性心内膜炎の治療成績は,感染早期の活動期に外科治療が導入されるようになって飛躍的に向上してきた.
単独内科治療に比し,外科治療成績がはるかに勝っていることが示され,外科治療の意義が感染・心不全・塞栓症の3つの病態について次第に明らかにされてきている.
しかし臨床的に安定した患者の手術死亡率がおよそ5%であるのに対し,合併症を有する複雑な病態にある患者では30%と高率であることも事実である.
重篤な合併症を発症する以前に的確に病態が把握され,外科治療が導入されることが望まれる.
感染性心内膜炎の治療において重要な点は,心内膜・弁に形成された疣腫から原因となった病原微生物を死滅させることである(表3).
疣腫には血流が乏しく,貪食細胞の影響を受けにくいことから,疣腫内の菌を殺菌するには十分な抗菌薬の血中濃度が必要で,かつ投与も長期間となる.
治療薬の選択にあたっては原因菌が判明しているかどうかが非常に重要であり,血液培養検査の意義は大きい.
菌が分離されたなら必ず感受性試験を行い,最少発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration,MIC)を測定する.
また抗菌薬は高用量・長期間投与となるため,可能な薬剤については血中濃度のモニタリング(therapeutic drug monitoring,TDM)を行い適切な投与計画を立てる(バンコマイシン,テイコプラニン,アミノグリコシド系薬).
「歯科治療時における感染性心内膜炎予防」、感染性心内膜炎の予防投与の対象として人工素材で弁形.
菌血症が起こってから,症状の発現までの期間は短く,80%以上の例では2週間以内である.
感染性心内膜炎の臨床症状は,亜急性あるいは急性の経過をとる.
亜急性感染性心内膜炎では,発熱・全身倦怠感・食欲不振・体重減少・関節痛等の非特異的な症状を呈する.
症状は徐々にみられ,その発現日は通常特定しにくいが,,扁桃摘除等と関連している場合もある.
感染性心内膜炎は弁膜や心内膜,大血管内膜に細菌集蔟を含む疣腫(vegetation)(注1)を形成し,菌血症,血管塞栓,心障害など多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患である.
#1 予防投与が必要な患者. ・人工弁. ・心内膜炎の既往. ・先天性心疾患. ・根治的に修復されていないチアノーゼ性心疾患.
それは観血的処置をする際には、感染性心内膜炎の予防投与が必要ということです。
先天性心疾患の患者さんを感染性心内膜炎(IE)から守りながら必要 ..
そのため、日本循環器学会は感染性心内膜炎が懸念される場合の術前投与は、アモキシシリンを定めている。
しかしながら、このガイドラインに沿って予防投薬をおこなっている歯科医師は数パーセントにすぎないという。
薬理動態を理解せず、MRのすすめにのって薬科の高い薬を使用している医師・歯科医師が多い。(アモキシシリンの薬価は不当に安い)
耐性菌についても、十分な理解をしていないためこのような抗菌薬の選択をおこなうのだろう。
抗菌スペクトルの広さは、効果の高さではない。
歯科医師とはいえ、基本に立ち返り正しい薬理を勉強すべきだ。
5) 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(JCS2017 改定版)
歯科医師の予防投薬で多いのが、比較的新しく抗菌スペクトルの広いフロモックス。
しかしながら、フロモックスでは役不足。
主な感染菌の連鎖球菌へのMIC、アモキシシリンはMIC90、MIC50ともにフロモックスの7分の1。
つまりフロモックスがアモキシシリンと同じ効果を得ようとするなら、7倍の血中濃度が必要。
しかも、フロモックスは吸収が悪く血中濃度が上がりにくい。
アモキシシリンはフロモックスの約3倍の血中濃度に達する。
感染性心内膜炎を疑います。 心臓の弁が細菌感染を引き起こすと、塞栓症、脳梗塞、動脈瘤などを合併することがあり、
ここで最も注意を要するのが、抗菌薬の選択。
私は歯科治療が原因の感染性心内膜炎は、歯科医師が抗菌薬の選択を間違えていることに大きな原因があると考えている。
使用すべき抗菌薬は、アモキシシリン、代表薬はサワシリン。
古い薬だと馬鹿にして、用意もしていない歯科医師のなんと多いことか。
アモキシシリンが使えない場合は、クリンダマイシン。
日本ではまだ連鎖球菌による感染性心内膜炎が多く、予防投与には意義があります。
そのため、抜歯などの外科処置や歯石除去などの歯周処置、麻酔による穿刺のは注意を要する。
感染性心内膜炎へのリスクが高い場合には緊急を要する処置意外は可能な限り避ける。
避けられない場合は、予防投薬をおこなう。
2)2016―2017 年度活動 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン.
感染性心内膜炎の原因の実に約3割は歯科治療。
心内膜炎は急性と亜急性があり、歯科との関わりがあるのは後者。
感染後2~4週後に発症する。
そのため歯科治療との関連に気づかない場合が多い。
「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」にて、感染性心内膜炎高リスク患者の抜歯に推奨されている抗菌薬は? 【選択肢】.
心内膜炎は深刻な合併症をきたす。
多いのが心不全と、心臓や脳神経への梗塞。
それぞれ20~40%の頻度で発生する。
特に心不全は内科的治療では予後が悪く、心臓外科手術を要する。
抜歯前に感染性心内膜炎ハイリスク患者にサワシリンを2グラム予防投与したいのですが、保険請求はどのようにしたらよろしいでしょうか。
今回は、心疾患の中でも歯科とのかかわりが非常に強い感染性心内膜炎について。
感染性心内膜炎は、細菌が心臓の心内膜に感染し、病巣を作った状態。
健全な健康状態では起こらないが、先天性心疾患や弁膜症の既往がある場合は注意を要する。
他には、糖尿病、肝硬変、腎疾患、ステロイド剤服用患者など。
その病態は、致死性が高く、自然治癒は見込めない。
その原因は、歯科治療における血中への細菌の流入が大きく関係する。
生物質の予防投与の主な適応症は、感染性心内膜炎(IE)および人工関節インプラント感染
中等度リスク群(必ずしも重篤とならないが、心内膜炎発症の可能性が高い患者)には、高度、低リスク群を除く先天性心疾患、閉塞性肥大型心筋症、弁逆流を伴う僧帽弁逸脱を含む。
[PDF] 歯科処置に関連した菌血症と感染性心内膜炎 抗菌薬予防投与の現在地
【ダイジェスト版】
感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
Guidelines for the Prevention and Treatment of Infective Endocarditis(JCS 2008)
日本循環器学会も 2018 年 3 月に『感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドラ
感染性心内膜炎(IE)は、抜歯などの歯科処置による菌血症によって惹起されることが知られている。
驚くべきことに、歯科処置に伴う菌血症の発症率は、抜歯などではほぼ 100% 。
「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン」では,感染性心内膜炎を ..
CQ5 小児/ 先天性心疾患に対する歯科処置に際して抗菌薬投与はIE予防のために必要か?
先天性心疾患患者で最も注意しなければならない合併症の一つに感染性心内膜炎があります. ..
この診療ガイドラインは、「感染性心内膜炎」を主題として、日本循環器学会によって作成されています。2018年3月23日に発行されました。Mindsでは、2021年9月15日に選定部会にて選定されています。
あなたのクリニックに感染性心内膜炎の患者さんが来院したら?予防的抗菌薬投与の基準などガイドラインから徹底解説。
予防投与の具体的な手順としては、アモキシシリン2g(通常用量の2日分)を、処置の1時間前に1回で内服することが推奨されています。処置や治療を行う間とその直後に、抗菌薬を効果的に効かせるためです。ペニシリンアレルギーがある場合には、クリンダマイシン・クラリスロマイシン・アジスロマイシンなどが代替え薬として提案されています。
感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)
感染性心内膜炎の発症や重症化のリスクとなる疾患や患者背景と、菌血症が発生しやすい検査や治療について、それぞれ高リスクと中等度リスクに分けて主なものを列挙しています。
参考資料:日本循環器学会 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)