3 [Analog](「ベスト・キッド3 最後の挑戦」輸入盤サントラ)Mca





監督/ジョン・リー・ハンコック 脚本/ジョン・フスコ 出演/ケヴィン・コスナー、ウディ・ハレルソン、キャシー・ベイツ
視聴時間132分



まず驚くのが、冷血そのもののボニーとクライドが、アメリカ国民にとっては、ある種の“ヒーロー”だったという事実。銀行を襲い、刑務所から囚人を脱走させ、追ってきた警官を返り討ちする2人。その姿が、権力や富に反発する人々の心を掴んでしまった。ボニーのファッションが女性たちの間で流行したりと、そんな異様な当時の状況も本作は描いている。

しかも、ボニーとクライドの顔を映像でほとんど見せていない。これも、うまい演出! 終盤の展開は『俺たちに明日はない』を知っている人には“お約束”ではあるが、それでも一大クライマックスまでに高まる緊迫感と、すべてが爆発するアクションは圧巻の一言だ。

そしてこの映画に最も引きこまれるポイントは、テキサス・レンジャーズの隊員2人が下す決断と苦闘。演じるのはケヴィン・コスナーとウディ・ハレルソンで、はっきり言って若くはない。

一度はレンジャーズを退いた中年の彼らが、アメリカで最恐の犯罪者に立ち向かうわけで、衰えていた銃の腕前や体力を復活させる姿は、ちょっぴりユーモラスでもあり、共感せずにはいられない。そんな2人がFBIとも対立しながら、経験とひらめきで追跡を続ける。時代や国を超え、濃厚な男のロマンが充満する一作となっている。


コブラ会」シーズン3の最新予告編が公開 『ベスト・キッド2』のオ…





原作・製作総指揮/グレッグ・ルッカ 監督/ジーナ・プリンス=バイスウッド 出演/シャーリーズ・セロン、キキ・レイン、マーワン・ケンザリ


シャーリーズが演じるアンディは、“不死”の肉体を持って生まれてきたという設定。戦いでケガをしてもすぐに治癒し、命を落とすことはない。何百年も生き続け、人類の歴史に“傭兵”として関与し、重要なミッションをこなしてきた。

“オールド・ガード”と呼ばれる不死身のチームは、新たにメンバー入りした軍兵士のナイルを含めて現在、4人。彼らは“死なない”という特殊な能力を持っているのだが、それ複製しようと、製薬会社が恐るべき陰謀を仕掛けてくる。

一見、スーパーヒーロー映画のようだが、描写は徹底してリアル。アクションとドラマのバランスも絶妙で、グイグイと作品世界に引きこまれる感覚を味わえる。

スリムなボディを生かした、流れるように美しいアクション。そして、男たちも率いて限界に挑むリーダーシップ。シャーリーズの性別を超えたかっこよさは、そのしなやかな動きを観ているだけで惚れぼれする! また新メンバーのナイル(こちらも女性)の無鉄砲な活躍にもテンションがアガるだろう。

そして、オールド・ガードたちの“永遠に生き続ける”という能力を持ったがための苦悩、これに関しても要所要所で語られ、その痛切さもビンビン伝わってくる。メリハリあるストーリー展開は、実に映画然としている。ちなみに、一瞬だけ登場する脇キャラも印象的なので、ご注目を。全体の流れから、シリーズ化の可能性も感じてしまうので、そんな想像力を広げながら楽しむのも一興だ。





監督・脚本/アーロン・ソーキン 出演/エディ・レッドメイン、アレックス・シャープ、サシャ・バロン・コーエン、ジェレミー・ストロング、ジョゼフ・ゴードン=レビット、マイケル・キートン


妙にかっこいい響きの“シカゴ7”。これは1968年、ベトナム戦争への派兵に反対し、民主党大会でデモを起こそうとしたとされる活動家7人のこと。彼らが扇動したデモによって、警察側と激しい衝突が起こり、数百人の負傷者が出た。シカゴ7(セブン)と呼ばれた彼らの裁判は、全米の注目を集めることになる。

こんな風にストーリーを書くと、やや堅苦しい社会派の印象で、法廷での密室ドラマが予想されるが、映画の冒頭から裁判官とシカゴ7のやりとりがちょっと笑えたりして、脚本の巧さに引きこまれてしまう。監督と脚本を担当したのが、『ソーシャル・ネットワーク』でアカデミー賞脚色賞に輝いたアーロン・ソーキンなので。このあざやかさも納得!

裁判中に出てくる数々の証言や、意外な事実など、法廷の外での再現シーンもたっぷり。デモ隊vs警察のアクションは過激だし、手に汗握る緊迫感も充満する。やや複雑な人間関係も、それぞれが役者の魅力でキャラ立ちしているのですんなり理解できるはず。

特にベテラン陣の演技が味わい深く、本心を表に出さない弁護人のマーク・ライランス、実に嫌味な裁判官のフランク・ランジェラは今年の助演男優賞に推したいほどのインパクトなので注目を。終盤はいかにもハリウッド作品らしいエモーショナルな流れなのだが、素直に心が揺さぶられる人も多いのでは? ベトナム戦争時代の実話ながら、今を生きる我々に訴えてくる強靭なテーマをもった一作!

管理人は最強のカラテ家? ミヤギ道カラテでコブラ会に立ち向かえ!







ケンカが弱く、イジメにもあうダニエル少年が、師匠のミヤギから空手を習い、因縁の相手と対決する、スポ根を絵に描いたような『ベスト・キッド』。同作でダニエルが闘った相手、ジョニーを中心にこの『コブラ会』は展開していく。

34年前の大会でダニエルに敗北を喫したジョニーは、その後、飲んだくれの人生を送るものの、かつて所属していた空手道場“コブラ会”を復活させる。なんといってもテンションが上がるのは、ダニエル役のラルフ・マッチオと、ジョニー役のウィリアム・ザブカが再び共演している点。

すっかりオヤジになった彼らのプライド対決はもちろん、ジョニーの息子がダニエルの部下となって空手を習い、ジョニーの一番弟子がダニエルの娘と交際するなど、絡み合った人間関係が面白すぎ!

盆栽や、沖縄で買った刺身包丁など、『ベスト・キッド』シリーズのネタが次々と出てくるうえに、ポイントでは懐かしの映像をたっぷり挿入。特にミヤギ役で、今は亡きノリユキ・パット・モリタの勇姿と“教え”には思わずニンマリとしてしまうはず。

やや奇抜な空手のトレーニングも受け継がれ、このあたりはオリジナルを知らない人でも大いに楽しめるだろう。そしてジョニーとダニエル、2人の主人公に善と悪の両面が入っているあたりが今っぽい。

ダメ主人公の一念発起で胸が熱くなるオリジナルの精神が、時代を超えてアピールするのは確実。




製作・監督/デヴィッド・フィンチャー 脚本/ジャック・フィンチャー 出演/ゲイリー・オールドマン、アマンダ・サイフリッド、リリー・コリンズ

舞台となるのは1930〜40年代のハリウッド。“時代の寵児”といわれた、若き天才監督、オーソン・ウェルズが、映画史に残る大傑作『市民ケーン』を完成させるまでの物語。とはいっても主人公は、ウェルズではなく、脚本を書いた、ハーマン・J・マンキーウィッツ(周囲に“マンク”と呼ばれていた)。

アルコール依存症が原因で大ケガを負ったマンクが、牧場の宿泊施設で、ウェルズの新作の脚本に取り組むが、そこにマンクの過去が重なっていく。ウェルズ側からの無理難題や、アルコールの欲求との格闘、看護師ら女性たちとのドラマで、オスカー俳優のゲイリー・オールドマンが、マンクを愛すべき天才として名演。思わず共感する瞬間が何度もある。

マンクが書く脚本の主人公は、旧知の新聞王ウィリアム・ハースト。ハリウッドでも権力を持つ男のスキャンダラスな面を入れこんでいるので、同時進行する過去のパートでは、映画業界のドロドロの舞台裏も展開。映画ファンには、たまらないエピソードの連続だ。

当時の映画を意識して、わざと合成っぽく見せる映像や、『ファイト・クラブ』でも語られたフィルムのウンチクを入れるなど、こだわりの演出がたっぷり。背景となる州知事選が、今のアメリカの大統領選に重なったりもする。

とはいえマニア向けというわけではなく、語り口はわかりやすいし、ハリウッド黄金期の女優を演じるアマンダ・サイフリッドのオーラを放つ美しさには、誰もがうっとりするに違いない。

予想を超える大ヒット!映画『ベスト・キッド』の30年後を描いた『コ…



原作・制作/ジェブ・スチュアート 出演/ブラッドリー・ジェームズ、マーティン・センズメアー、ホセ・ミゲル・バスケス 全4話/各話46分〜56分


ジャンルでいえば、この作品はアニメ。しかし限りなく実写に近い印象を与えるのは、『Trioscope(トリオスコープ)』という実写とCGIの最新合成テクノロジーを、初めて本格的に使った作品だから。未体験の映像に最初はとまどうかもしれないが、目が慣れていくと新鮮な感動すらともなっていくのだ。

1943年、イタリアに上陸したアメリカ軍の歩兵連隊サンダーバーズ。ドイツ軍を相手に苦戦を強いられながらも、フランスの山を越え、バイエルンでの悪夢のような決戦に挑む。タイトルにあるとおり、500日におよぶ死闘は、連隊を率いたフェリックス・スパークスの実話。そのスパークスに軍規違反で逮捕状が出されるなど、ドラマチックこのうえない展開が待っている。

俳優の演技をそのままアニメ化した作品は、以前もキアヌ・リーヴス主演の『スキャナー・ダークリー』などがあった。けれども、この作品は、より実写に近いイメージ。人物の表情や動きが異様に生々しいのだ。背景、特に遠景は実写の印象に近く、砂ぼこりや水しぶきも細かい部分までリアル。

一方で、流れる血がアニメっぽかったりして、戦争ドラマの衝撃感は斬新。後半のアクションは予想以上に壮絶だ。スパークス隊長が集めたメンバーは、前科者のワルばかり。それぞれ戦闘のエキスパートで、黒澤明監督の『七人の侍』を受け継ぐ、チームものとして感情移入させる。映像が映像だけに、最初は兵士たちの区別がしづらいが、ドラマの進行とともに各キャラが味わい深くなり、違和感も忘れるはず。そこも今作の大きな魅力!





製作・監督/ライアン・マーフィ 出演/メリル・ストリープ、ニコール・キッドマン、ジョー・エレン・ペルマン


主人公はインディアナ州に住む女子高生のエマ。卒業を祝うプロムに、同性カップルで参加しようとした彼女が、PTAらに猛反対をくらい、プロム自体が中止の危機になってしまう。そのニュースを知った、NYブロードウェイの俳優たちが、保守的なインディアナ州の町に乗りこんで、エマを応援。

“多様性”をテーマにした今どきの物語を、とことんポップに明るく映画化したのは、ドラマ『Glee/グリー』などのクリエイター、ライアン・マーフィー。もともと舞台で高く評価されていた作品なので、音楽は最高のノリ。頭の中でリフレインする名曲も多いうえに、高校生たちのナンバーは振付がかっこよく、自然と楽しくなっていく感じ。

ブロードウェイの俳優を演じるのは、メリル・ストリープ、ニコール・キッドマンら大御所スターたち。実は彼らも、新作が大コケするなどコンプレックスを抱えており、自虐ネタで笑いを誘うシーンも多数。一方で、周囲から反発にあっても前向きなエマのキャラは、観ているこちらにも勇気と元気を与える。

大統領選が証明したアメリカの分断やカルチャーギャップも含め、普通のドラマで描いたら、ちょっと白々しくなりそうな状況も、ミュージカルだと感動できてしまうから不思議! キャストたちの最高の“芸”を、明るい青春映画のムードとともに堪能してほしい。

コブラ会のキャスト、幼かったのにもう立派なおとなになってるなぁ





製作・監督・出演/ジョージ・クルーニー 出演/フェリシティ・ジョーンズ、カイル・チャンドラー


ジョージ・クルーニーが演じるのは、北極の基地に1人で残った科学者のオーガスティン。舞台は2049年。地球は滅亡の危機を迎えている状況で、多くの人が避難先を探す中、彼は宇宙船と交信して、地球に戻ることは危険だと知らせようとする。

孤独な時間を過ごすオーガスティンは、交信のために吹雪の中、遠く離れた天文台へ向かう。彼のサバイバルと奇妙な体験、さらに宇宙船の乗組員たちのドラマも同時進行し、未体験のスリルとスペクタクル、感動を届ける作品に仕上がった。

『ゼロ・グラビティ』では宇宙空間で自らの命を犠牲にしてまで仲間を助けたジョージ・クルーニー。今回は地上から宇宙船を助けるという役まわりだが、ヒゲもボーボーの姿で、より悲壮感を漂わせる表情に心を揺さぶられる。

そして宇宙のシーンにも力が入っており、宇宙船の美しい外観のデザインや内部の最新システムは、斬新ながらリアリティ満点。SF映画ファンが観てもテンションがアガるはず。要所のアクションのスケール感や、思わぬドッキリシーンの入れ方、謎の人物の行動の描写など、“監督ジョージ”の演出力も安定感バッチリ。宇宙船の地球への帰還と、オーガスティンの運命がひとつになるクライマックスも、“大人の演出”で見せきったジョージ、さすがである!





原作・制作/スコット・フランク、アラン・スコット 出演/アニャ・テイラー=ジョイ、ビル・キャンプ、マリエル・ヘラー、トーマス・サングスター、モーゼス・イングラム 全7話/各話46〜67分


1960年代のアメリカから始まる物語は、至ってシンプル。母親を亡くして孤児となった少女エリザベス・ハーモン、通称ベスが、養護施設でチェスの才能を開花させ、やがて世界的なプレイヤーへと成長していくのが主な流れだ。冒頭、世を拗ねた天才少女として描かれるベスは可愛らしく、その姿からは児童文学のいたいけなヒロインの香りすら漂うが、ただし状況は思いのほか厳しい。「気持ちが落ち着くように」と養護施設で与えられた精神安定剤が、薬物やアルコール依存の問題となってベスの人生に暗い影を落としていく。

原作小説の著者は、自身もアマチュアのチェスプレイヤーだったウォルター・テヴィス。物語自体はフィクションだが、ベスの人物像には世界チャンピオン、ボビー・フィッシャー(映画『完全なるチェックメイト』でトビー・マグワイアが演じた)の要素が含まれている。とはいえベスは女性で、ボビー・フィッシャーは男性。あるときは性別を超えた知性でライバルを打ち負かし、またあるときは異性としての魅力を仲間に向けて放ちもするベスの活躍は、より痛快ですがすがしく見える。


ベスト・キッド シリーズのネトフリの配信期限が2024年12月31日になっていたので。





監督・脚本/ティモ・ジャヤント 出演/ジョー・タスリム、イコ・ウワイス 視聴時間120分


主人公のイトウは、巨大犯罪組織トライアッドの殺し屋軍団“6つの大海”の幹部を務める男。ある日、麻薬を横流しした村人たちを虐殺する任務を受けた彼は、村の幼い少女に手をかけることができず、組織の戦闘員たちを皆殺しにして彼女を助けてしまう。トライアッドがこれを見逃すはずもなく、追われる身となったイトウはレイナとともに逃亡し、信頼できる昔の悪仲間ファティに助けを求める。

トライアッドはカジノを仕切る幹部アリアンに、“6つの大海”を任せることをチラつかせて、イトウの抹殺を命じた。イトウやファティのかつての仲間であるアリアンは、このミッションに複雑な思いを抱く。一方、トライアッドの包囲網はイトウをジワジワと追い込み、刺客が次々と出現。痛手を負いつつ何度も死線を乗り超えたイトウは意を決して敵地へと乗り込み、アリアンと対峙することになる。

殺し屋と少女の逃避行は『レオン』にも通じるエッセンスだが、その旅路は壮絶。欧米のアクション映画であれば、子供キャラの前で主人公が射殺や撲殺で自衛するような場面はほとんどない。その点、本作は容赦がなく、血しぶきは上がるわ、死体はゴロゴロ転がるわのトラウマレベルで、この娘の将来が他人事ながら心配になってくる!? ともかく、それだけギリギリの世界に彼らは放り込まれているのであり、緊張感も並々ならぬものがある。

・シーズン5には『ベスト・キッド4』のヒラリー・スワンクが復活するとか





原作/アラビンド・アディガ 製作・監督・脚本/ラミン・バーラニ 出演/アダーシュ・ゴーラブ、ラージクマール・ラーオ、プリヤンカー・チョープラー 視聴時間125分

舞台はインド。来印する中国の首相に向けた、殺人罪で指名手配されている主人公の手紙の文面がナレーションとなり、物語が展開する。主人公バルラムは貧しい村で生まれ育った下層カーストの若者。貧困から抜け出そうと地主の運転手の仕事を得た彼は、米国留学から帰国して自由な空気をまとっている地主の次男アショクに憧れを抱く。しかし、アショクの妻が交通事故を起こし、その罪をバルラムが負うハメに。この時の怒りから、バルラムの胸にドス黒い欲望が広がっていく。

原作はインド出身の作家アラヴィンド・アディガによるブッカー賞受賞小説『グローバリズム出づる処の殺人者より』。インドと中国の急激な経済成長を背景に、それに乗るために危険な賭けに打って出た下層市民の告白を描いている。貧しい者が起業するには、手を汚して、ズル賢く立ち回らねばならない。そんな汚れの下に経済成長が成り立っている。宗教国家インドの現実を浮き彫りにした鋭い視点を、映画はそのまま反映している。

物語後半は一転して犯罪スリラーの色を帯びてくる。バルラムが抱いていたアショクへの憧れは失望に変わり、忠誠は不誠実な主人を裏切っても許されるという気持ちにどんどん変わっていく。それはバルラムが殺人罪で指名手配されることに繋がってくるのだが、これ以上はネタバレになるので、さらに予想外の展開に発展する……という解説にとどめておきたい。

たまたまYouTubeで見かけたのが「Cobra Kai(コブラ会)」でした。




監督/マイケル・マシューズ 脚本/ブライアン・ダフィールド、マシュー・ロビンソン 出演/ジェシカ・ヘンウィック、マイケル・ルーカー 視聴時間109分


地球に小惑星が急接近し、人類はミサイルで惑星を迎撃。その攻防によって危険な化学物質が地上に降り注ぎ、巨大モンスターと化した生物が人間を襲いはじめた……。わずかに生き残った人類は、あちこちの地下室で生活。仲間とサバイブするジョエルは、130km離れた場所にいる恋人と再会するため、モンスターたちがうごめく地上へと出ていく。

130kmを日本で置き換えると、東京から静岡の手前あたりまで。この距離を、どこに潜んでいるかわからないモンスターをかいくぐって進むジョエルの冒険は、まさにドキドキの連続。モンスター以外との思わぬ出会いも、ジョエルの運命をドラマチックに盛り上げるので、全く飽きることがない。

アカデミー賞にノミネートされただけあって、モンスターたちの映像には、ひたすら衝撃と興奮を味わえる。基本的に昆虫や爬虫類が巨大に進化したデザインなのだが、細部まで生々しく、グロさだけでなく妙なかわいさもあったりして、レトロな“怪獣”のような印象も。

恋人の居場所に近づく後半は物語にひとひねりあったりして、エンタメとしての構成も上質だ。モンスター系、クリーチャー系が好きな人は大満足だし、そっちに興味がない人も、愛と勇気の物語を素直に楽しめる、オトクな1本なのは間違いない!

ダニエルは出てないので「コブラ会」をみるには必要ないでしょう。





監督・脚本/ハン・ジュニ 出演/チョン・ヘイン、ク・ギョファン、キム・ソンギュン 配信/ネットフリックス
2021年/韓国/全6話


邦題にある“脱走兵追跡官”がダイレクトに示すように、ドラマの主人公は脱走“兵”を追跡する人。兵役義務のある韓国で、D.P.=Deserter Pursuit(軍隊離脱者追跡)の任務に就いた捜査官の苦闘が展開する。

捜査官と言っても兵士を追跡・逮捕するのもまた兵士で、主人公のアン・ジュノ(チョン・ヘイン)は兵役義務によって入隊した一兵士。鋭い洞察力と冷静で真面目な態度を見込まれたジュノがD.P.に抜擢され、様々な事情を抱えた脱走兵たちを追いながら軍隊の実情を目の当たりにしていく。

脱走兵の中には軍隊生活におけるいじめや虐待の問題にさらされた者も多く、ジュノ自身もドラマがはじまって早々に先輩兵から理不尽な仕打ちを受ける。いじめを苦に脱走する者、家庭の事情を抱えて家に戻りたがる者、ただ単に兵役の義務と向き合いたくない者などケースは様々だが、脱走兵たちの物語を通して傷つき、成長する主人公の果たす役割は大きい。

原作は2015年に連載がはじまったウェブ漫画で、D.P.経験を持つ作者キム・ボトン自ら脚本に参加。エンタテインメント性を帯びながら現実を巧みに投影した物語はやがて、韓国の軍隊における実際の事件と地続きになっていく。

ドラマの舞台になっている2014年について、ドラマを見てから知るもよし、頭に置いておきながらドラマを見るもよし。その後現在に至るまで兵士の虐待や脱走問題は減少傾向にあるというが、まだまだ考えるべきことはあると、衝撃のクライマックスが警鐘を鳴らす。笑いや感動をもたらし、青ざめもさせる。世界配信ドラマらしい気概のバランスもお見事。

コブラ会(Cobra Kai)では、ベストキッドで悪ガキのリーダーだったジョニーが主役となります。





原案・製作/ザック・スナイダー 監督・出演/マティアス・シュバイクホファー 出演/ナタリー・エマニュエル、ルビー・O・フィー、スチュアート・マーティン 配信/ネットフリックス
2021年/アメリカ/視聴時間129分


マーベルやDCのヒーロー映画のように、それぞれの作品がクロスオーバーする世界観は、ハリウッドですっかり主流になった。しかしあまりに作品が広がりすぎると、追いつけなくなったりするのも事実。そこでオススメしたいのが、この作品だ。

『300<スリー・ハンドレッド>』や『ジャスティス・リーグ』などでアクション映画ファンに根強い人気を誇る、ザック・スナイダー監督。当たり障りのない痛快アクションというより、かなり過激だったり、マニアックな欲求を刺激したり、アクの強い表現も得意な彼の持ち味が最大限に発揮され、絶賛されたのが『アーミー・オブ・ザ・デッド』。ゾンビが解き放たれたラスベガスで、金庫からの大金強奪を描いたが、そこで天才的な金庫破りのテクニックを披露したキャラが、今回の主人公。ラスベガスの事件から時間を戻し、ヨーロッパを舞台にド派手な強盗アクションが展開していく。世界の強盗たちにとっても“伝説”とされる4つの金庫がターゲットとなるのだ。

『アーミー・オブ・ザ・デッド』でも、ちょっぴり浮いた存在だった、金庫破りの天才マティアスは、今回も超難関な犯罪計画に巻きこまれながら、自慢のテクを使いたい野心と、もともとの軽めの性格が絡み合って、さらに味わい深く、共感しやすいキャラへと進化。金庫に触れながら、複雑な内部に“感応”する鍵開けのシーンは、じつにユニークだ。マティアスを犯罪に誘うスリの名人のほか、計画の仲間たちも強烈に怪しい面々で、そのチームプレーが思わぬ方向へなだれこむあたりもスリリング。アメリカでゾンビが発生する事態や、意外なキーパーソンなど、『アーミー・オブ・ザ・デッド』とのシンクロを見つけられるし、この2作、どっちから先に観ても楽しめる。2022年には『アーミー・オブ・ザ・デッド』のアニメシリーズも完成するので、この“アーミー・オブ”ワールドの動向から、しばらく目が離せなくなりそう!

ジョニーとチョーゼン最高 クミコ役のタムリントミタが歳とってめちゃ綺麗すぎ! 出演者みんな好き! #ベストキッド





監督・脚本・演出/ファン・ドンヒョク 出演/イ・ジョンジェ、パク・ヘス、オ・ヨンス、ホ・ソンテ 配信/ネットフリックス
2021年/韓国/全9話


『イカゲーム』で繰り広げられるのは、賞金456億ウォンをかけたサバイバルゲーム。謎の巨大施設に集められた参加者たちが、勝利を目指して各ゲームに挑戦する。ギャンブル癖を抱えて借金にまみれたソン・ギフン(イ・ジョンジェ)をはじめ、一家離散の憂き目に遭った脱北者のカン・セビョク(チョン・ホヨン)、会社の金を横領したエリート証券マンのチョ・サンウ(パク・ヘス)ら参加者の顔触れは様々だが、共通するのは大金を手に入れたい意思。それぞれの事情を抱えた者たちが寝食を共にしつつ、“負けたら即死亡”の世界へといざなわれていく。

また、施設のインテリアやファッション演出も残虐性からは程遠く、基本カラーはピンクとグリーン。参加者のジャージが濃いグリーンなら、運営スタッフの制服は濃いピンクのジャンプスーツで、ポップでキュートな色づかいに意地の悪さを滲ませる。

怖気づいた参加者たちを、一度は日常に帰しもする。それによって浮かび上がるのは、参加せざるを得ない現実、背後にある社会。一方、行方不明の兄を追って施設に潜入する警察官ファン・ジュノ(ウィ・ハジュン)を介し、犯罪行為にまみれた運営側に目を向けることも忘れていない。児童への性的虐待問題を扱った社会派映画『トガニ 幼き瞳の告発』などで知られるファン・ドンヒョクが全9話の監督、脚本を手掛け、腕を振るっている。

なんでこれタムリン・トミタについて触れてないんだろう? 今も現役だと思うし、観てないけど『コブラ会』にも出てたんじゃないか?




監督/キム・ジンミン 脚本/キム・バダ 出演/ハン・ソヒ、パク・ヒスン、アン・ボヒョン、キム・サンホ 配信/ネットフリックス
全8話(1話45分〜59分)

主人公は、ハン・ソヒ演じる女子高生のユン・ジウ。父1人、子1人の家庭で育ったジウは、麻薬組織の一員だった父親を何者かに殺され、天涯孤独の身になってしまう。悲しみに暮れるジウは、父の親友だった麻薬組織のボス、チェ・ムジン(パク・ヒスン)のもとへ。父の復讐を果たすため、復讐する力を手に入れるため、組織の一員となって生きる決意をする。だが、そこは想像を絶する過酷な世界だった……。

と、これはまだシリーズ冒頭の展開でしかなく、ジウの復讐劇は何年にもわたる壮大なものへ。チェ・ムジンの後ろ盾を得ながら組織の中でサバイブしていくジウは、父を殺害した犯人が警察の人間であると確信。やがて正体を隠して警察官となり、新しい名前”オ・ヘジン”として生きることになる。ヘジンの目的は警察内部からチェ・ムジンをサポートすること、そして父の死の真相を突き止め、死に追いやった人物への復讐を遂げること。果たして彼女は目的を果たすことができるのか? ギリギリの状況に身を置くヘジンの死闘がノンストップで描かれていく。

シリーズも中盤を過ぎたころには、大半の視聴者は“マイネーム”を捨てて奮闘するヘジンに復讐を遂げさせてあげたくなるはず。身を置く状況の複雑さに反し、彼女の願いを最初から至ってシンプルなのだから。しかし、そう簡単にはいかないであろうことは、展開1つ1つの残酷さや壮絶なアクションシーンが物語っている。ヒリヒリとした全8話のラストに待ち受けているのは何なのか。先が気になり過ぎて居ても立ってもいられなくなるため、できれば一気に見る時間を作って楽しむのがおすすめ。